2011年12月14日水曜日

ファブリカ村ワークショップ

先週の日曜日、滋賀・能登川にあるファブリカ村
木版年賀状のワークショップをさせていただきました。

ファブリカ村は、JR能登川駅から歩いて20分ほどの場所にある
アート&カフェ&ショップのお店です。

のこぎり屋根の麻織物工場をリメイクして作られたカフェスペースは、
今も動くカッコいい織機や、ペチカという暖炉のあるとてもステキな空間です。
















ワークショップの様子は、店長ブログをどうぞ!
たくさんの方に参加していただき、ワイワイ楽しい時間を過ごさせていただきました。

思い返せば、一年前の今頃、私は機会があるごとにファブリカ村にお邪魔していました。
就活もろくにせずに周りに心配ばかりかけていましたが、
ファブリカ村に行くと、必ずステキな出会いがあって、よし、がんばろうという気持ちになりました。

その後、私は運よく竹笹堂に拾ってもらい、職人になるという夢も叶い、
ファブリカ村で、ワークショップをさせてもらえるまでになりました。

とてもうれしいです。
そして、不思議です。信じられません。
こんな機会を与えてもらって、感謝の気持ちでいっぱいです。

当日は、大学時代にお世話になった方が会いに来てくださったり、
ゼミの先輩が竹笹堂のダルマ型のクッキーを作ってくださったり・・・

とっても心が温かくなった一日でした。
みなさん本当にありがとうございました!

2011年12月2日金曜日

竹笹堂展 教室部の夢

先日、竹笹堂展が無事に終わりました。
お越しくださったみなさま、本当にありがとうございました。

今日は、教室部門で展示した内容を、少し紹介したいと思います。

注意:長文です!

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竹笹堂では、皆さまに広く木版画の魅力を知っていただくために体験教室を開催しています。
まずはデザインの作成からはじめ、彫刻、そして摺りとすべての工程を実践し、
世界に一枚だけのオリジナル木版ハガキを作っていただきます。



こちらはその作品例です。
2時間という限られた時間内ですが、色とりどりのかわいい木版ハガキを作ることができます。
この体験教室で作る木版ハガキは、一枚一枚を見ると小さな作品ですが、
版の組み合わせによって多種多様な表現が可能になります。























こちらは、上の木版ハガキの制作に使用したものと同じ版を使って制作したものです。
7版1035度摺り、すなわち7種の版木と10色の絵具を用いて、35回摺った作品です。

木版画の制作はとてもシンプルであり、シンプルがゆえに奥深く、
またその組み合わせによって無限の表現が可能になります。
熟練の職人は、長年の経験によって体に染みついた多くの技の中から、
時と場合に合わせて最適な技を選び、常に最高の作品を作り出してゆきます。

さて、上の作品、いったい何を表したものかわかりますか?
ヘビの上にカメに乗っていて、その上のゾウが半円形の大陸(世界)を支えていて、
その世界の中心には須弥山と呼ばれる山がそびえ立っている・・・。
そう、これは、古代インドの宇宙観をワンポイント木版で表現してみたものです。

インドといえばインド更紗が有名ですね。
更紗とは木綿の布にさまざまな鮮やかな文様が描かれたものですが、
その制作方法のひとつとして木版印刷が用いられています。
小ぶりの版木の裏に取手がついていて、
それを手に持ってスタンプのように布に捺していきます。
ごく少数になってしまいましたが、日本にも木版染めの職人さんがおられます。

話は戻りますが、日本の木版画といえば浮世絵が有名ですね。
江戸時代には多くの浮世絵作品が発表されましたが、
素材・技術・色彩のすべてが独自性に富んでおり、
他に類を見ない日本芸術として、世界中を驚愕させました。
このように色鮮やかな浮世絵木版画として花開いた木版印刷ですが、
中国では唐代(618-907)の初めには木版印刷が行われており、
これが木版印刷の源流であるという説が有力です。
それから時を経て、木版印刷の技術は仏教などの大陸文化とともに
日本に伝来したと考えられています。
長きにわたって、木版印刷は主に仏教の経典を刊行するために用いられていました。
日本をはじめ、中国・韓国・モンゴル・チベットなど、
東アジア各地に木版印刷の経典が現存しています。

竹笹堂は、これからもっともっと
世界の木版印刷の文化や歴史を突き詰めていきたいと思っています。
たとえば、日本の木版印刷技術はすべて日本国内の素材から成り立っています。
摺りの作業に欠かせないバレンは、真竹の皮と和紙によってできています。
では真竹のない外国ではいったい何を使って摺っていたのでしょうか。
どんな彫刻刀を使っていたのでしょうか。
日本では、木版印刷にもっとも適した版木の素材は山桜の木だといいわれていますが、
山桜のない地域では、どんな木を版木として使っていたのでしょうか。
絵具は?紙の原料は?・・・挙げるときりがありません。

竹笹堂は、先代から受け継いできた高度な木版印刷の技術を持っています。
また、木版画と長年向き合ってきた職人にしかわかりえない世界が必ずあると信じています。
わたしたちは、世界に誇る木版職人であるということを自負し、
研究機関と協力して、木版印刷の文化や歴史の解明に力を注ぎたいと思っています。
そして、木版画の良さを世界中の多くの方々に伝えていきたいと考えています。

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